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覚醒

麻酔で眠っている間、夢も見ず時間の経過がわからないまま、唐突に覚醒のときがやってきた。

視界がふわり、ふわりと徐々に開けてくる。ぼんやりと見えるのは、ふたりのナース。じっと私の顔を見つめている。

なにかくぐもった声が聞こえるが、その意味がわからない。

息苦しい。 一生懸命息をしようとするのだけれど、とても苦しい。

やがて目の前に手が現れ、気管チューブがずるずると抜かれていった。苦しさはMAXに達し、その後やっとまともに息ができるようになる。

ぼんやりした意識の中で考えたのは、気管チューブを抜かれるまでの時間というのは、逆回転してみるとそのまま「死」へとつながる感覚に近いような気がしたことだ。
だんだんと息ができなくなって、意識がなくなりやがて死を迎える。 これはたぶん、あたっているだろう。

その後どうやってベッドに乗せられたのかもわからないまま、次に意識が戻ったのは病室だった。女房と三女の顔が私を覗き込む。

還ってきた。 私もこのとき、思いきり安堵の笑顔を作ってみせた。





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Author:smile
わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
本業(写真店)のかたわらワンコ用スイーツも作っています。

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