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富屋旅館

案内された部屋は、こじんまりとしたふた間続きの、質素だがよく手入れされた和室だった。

特攻で散っていったわが子のことを尋ねにこられる遺族を迎えるために、昭和27年に富屋食堂とは別棟として建てられたという旅館。

以来この部屋は、いったいどれほど肉親の「想い」を抱えてきただろう。


平和な世に生まれ、あの時代のことをなにも引きずっていない私なんかでも、この部屋が違和感なく迎えてくれたような気がして少しホッとする。



夕食までの時間、旅館の付近を散策してみる。

こんな山に囲まれた田舎に、こんなに端正で静かな町並みがあるなんて…。


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子供のころ、すごく身近だった風景が、すぐ手に届くところにあったりする。

樹齢何百年だろう、大木を幾本も境内に抱えた古刹、豊かな水の流れ、ときおり聞こえてくる薩摩弁の暖かなひびき。


すべてのことをこの街並みが受容してくれるようで、穏やかな心持ちになる。


かつてここに陸軍最大規模の特攻隊基地があったなどと、だれが想像できようか。



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「麓川」と書かれた橋の欄干の両岸には桜並木が連なる。

知覧の桜…ここに住む人にとって、この地に縁のある人たちにとって、桜は特別な意味を持っているにちがいなく、桜自身もそのことをよくわかっているように、早くも花びらがほころんでいる枝が数本。

まだ3月にはいったばかりだというのに、咲き急いで早く散ろうというのか。

94000002.jpg


宿に戻り、桜が咲いていたことを告げると、

「知覧は桜の咲き始めるのが早いんですけど、それにしても、もう咲いていましたか…」

と、驚かれていた。


この写真、大切にとっておこう。





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Author:smile
わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
本業(写真店)のかたわらワンコ用スイーツも作っています。

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