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3.11

鹿屋航空基地史料館の広大な外庭には海上自衛隊歴代の哨戒機やヘリコプターが屋外展示されている。その中でひときわ異彩を放つのが太平洋戦争で活躍し、世界にただ一機現存する帝国海軍の二式大型飛行艇だ。
この飛行艇は、制式採用になったのが皇紀2602年。その末尾の数字を取り名づけられたもので、つまり昭和17年ということになる。

大きく鈍重な飛行艇にもかかわらず、任務が過酷なものが多かったためか、終戦まで生き残っていた二式大艇はたったの3機。そのうちのこの機体だけが数奇な運命をたどりつつなおも生き延び、ふるさとの鹿屋に戻ってきて、史料館の庭にその翼を休めている。

DSCF2819.jpg



昭和20年3月、鹿屋を本拠地とする第五航空艦隊は、硫黄島攻略を終え泊地のウルシー環礁に帰投する米機動部隊に向けて、大がかりな特別攻撃隊を組織する。

それが新鋭の陸上攻撃機「銀河」24機からなる梓(あずさ)隊で、800kg爆弾を積んだ彼らを洋上はるか3000kmの小島に向け誘導する任務が、2機の二式大艇に与えられた。

その出撃が、3月11日、今日であった。


誘導機である二式大艇も3000kmも飛べば燃料が尽きる。搭乗員には任務を果たしたあとに洋上着水し、潜水艦に拾ってもらう手はずが伝えられた。

爆弾を抱えたまま敵艦に体当たりする銀河と、生還の道筋がある誘導機。彼らの間にどんな葛藤があったのだろう。



城山三郎の短編集、「忘れえぬ翼」の一編に、この梓特別攻撃隊を題材にしたものが描かれている。

何度読み返しても、切なく、苦しく、そして美しい。


忘れ得ぬ翼 (角川文庫)忘れ得ぬ翼 (角川文庫)
(2001/07/25)
城山 三郎

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3.11 ちょうど今頃、若者たちの大編隊が自分の命と向き合いながら南の空を飛んでいたことを、私は忘れないでいよう。



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わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
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