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歴史の重み

「ここのね、この部分をもう少し拡大できんやろか」

店頭受付機でデジカメの画像を見ながらお客さんが訊ねているのは、映画「永遠の0」のポスターらしきものを写したのだろうか、その一部分、搭乗員のおへそのあたりだ。


「…この部分の落下傘の金具を、わしら子供のころに作っていたんですよ」

お客さんの口から、思ってもみない言葉が漏れた。


話によると、この町で一番大きな小学校の前身にあたる校舎は、戦時中軍需工場として使われたそうで、そこで作られていたものは、戦闘機や爆撃機搭乗員が身につけるパラシュートのバックル(留め金具)。

私も初めて聞く話だった。



それが戦争が終わって、進駐軍がやってくる前に、工場で作っていたものを全部隠せということになったらしい。

「まだ校舎に残っていた金具を残らず埋めてしまいました。 そんで、ほとぼりが冷めたころにこそっと掘り返して、私は今でもこれをひとつだけ持っています」


夕方、写真を取りにこられたお客さんが、その実物を持ってきてくれた。


85590001.jpg


手に持つと、ずしりとした重量感。

それが、70年という歳月を経たものの持つ重さだということを理解するのに、少し時間がかかる。

そして、ひとつひとつのパーツの、なんと精巧なことか。


85590002.jpg


「ここをつまむと、こうして金具が外れるようになっているわけです」


大戦末期、本土防衛のために飛び上がる戦闘機搭乗員にとって、この金具の重みは、命をつなぐ重みでもあっただろう。


それと反対に、決してパラシュートを開くことを許されなかった人たちがいたことも、忘れてはいけない。

「九死に一生、なんてものじゃない。俺たちには十死零生の道しかなかったんだ」


あらためて特攻隊員や、補給の途切れた戦線で戦う兵士の生き様を、思う。




明日は久しぶりに、靖国だ。

歴史の重みを、また背負いに行こう。





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Author:smile
わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
本業(写真店)のかたわらワンコ用スイーツも作っています。

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