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上げ潮

10時を過ぎ、海の「気配」がだんだんよくなる。

まあ、気がするだけだが。

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なんとなくザワザワしはじめ、サラシからのハライ出しと沖の潮が合わさるところにヨレができて、絶好のポイントではないかと感じ、タナをこまめに変えながら攻めてみる。

たまに仕掛けを張って聞いてみると、穂先の重さでまだサシエが残っているのがわかって、思わず

「おお~、なんかデカイやつがウロウロしだしたんかな~」

などと独り言をつぶやく自分。

一人で磯に乗っているとなぜか、

「おぁ~」とか

「ほっほ~」

と、わけのわからないことを平気で口走っていたりする。


トイレ休憩のついでにソーセージとノンアルコールビールで気分転換。


高場に立って西側にはこんな景色が広がる。

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大島一番の磯は隠れて見えないが、二番から五番、それに続く小磯がずらりと勢ぞろいの絶景だ。

磯釣りという趣味(道楽)がなければ、なかなかお目にかかれるものではないだろう。

このころまでは暑さもだんだんと厳しくなり、苦しい時間帯を予想していたのだが、沖合いから海面いっぱいに濃霧がさ~っと音もなく押し寄せてくるようになる。

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標高の高い山岳が一瞬でガスに覆われるように、TVで見た中国やイラクの砂嵐のような勢いで、まわりは見る見る、幻想的ともいえるような白い世界に包まれていく。

なんともいえない、ミストのシャワーを浴びていると、先ほどまでの暑さはどこかへ行ってしまい、長袖シャツでちょうどいいくらいの涼しさになってきた。

そんなとき、ハライ出しのヨレを漂っていたウキが斜めにゆっくりと引き込まれていく。

アワセを入れると、ドスッとした手ごたえ。

あ、これは本命かも。

グレならば40cmクラスか。

よ~し、よ~しと頭を冷静にしながらやり取りにかかったとたん、2度目の締め込みでフッと重量感が消えてしまう。


う~ん、掛かりが浅かったか…

アイゴのような執拗な引きではなかっただけに、これはもったいなかった。

ボイルのサシエを使いながら、生オキアミのときのアワセ方をしているから、こういうことになる。

今日メインに使っている鈎は、がまかつの「掛かりすぎグレ」6号というふざけたネーミングの短軸の鈎だ。

以前海上釣り堀で「短グレ」という鈎がいたく気に入っていたのだが、シェイプはそれにごく近く、掛かったら逃さない攻撃的な形をしている。これの7号あたりが今日の海には合っていたのかもしれない。

ただ、この時間帯、確実に海況が良くなりつつあるのが感じられた。

チャンスは今だと、神経を張りつめた釣りをするように心がける。

タナ、ガンダマの位置、流すライン。

ふたヒロから底すれすれの四ヒロまで、あちこちを探ってみるが、答えが見つからずに時間が過ぎていくばかりだ。

12時10分前、道具を片付け、磯を清掃して迎えの船を待つ。

やがて濃霧の中を、イナフネの釣り客を回収してきた船が現れた。


今日の釣りは、あのワンチャンスだったな~…

まあいいさ。次にするべき宿題はたくさんもらったし、なにより磯に立つことが叶ったのだから。



次々と釣り客を回収し、濃霧の中を港へ向かう船。


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視界は進むほどに悪くなり、まさに五里霧中の状態だ。

船長も目視が効かないのでレーダーをにらみながら超スローで船を進め、私たちも対潜哨戒の見張りのように真っ白な海面に目を凝らす。

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今乗っているのが輸送船や駆逐艦で、今は太平洋戦争のさなかで、もしも向こうから不意に真っ白な魚雷の航跡が走ってきたらどんなだろうと、想像してみる。


「まだ陸地、見えへんな~」

「まだ、な~んもやね~…」


優秀なレーダーを持たなかった日本の船乗りさんたちはさぞ不安な心持ちだったことだろう。


やがて見覚えのある磯の地形がうっすらと姿を見せはじめ、湾内へと進むうちに、今までの濃密な霧がウソのように青空が現れてきた。

ああ、陸地はこんなにいい天気だったんだ。





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Author:smile
わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
本業(写真店)のかたわらワンコ用スイーツも作っています。

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