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心に刻む

2011年も、もうすぐ終わろうとしている。

店の仕事も年内は今日でおしまい。年明けの営業は3日からだ。


大晦日から元日を跨いだって、いつもと同じ日々の繰り返しに過ぎないかもしれない。

でもやっぱり、今年という1年は、多くの人々にとってもそうであるように、特別な年だった。



今でもはっきりと憶えている。

ラジオの国会中継が突然中断して、緊急地震速報のアナウンスが流れた。

「強い揺れに注意してください」


....................................



「before 3.11」と、「after 3.11」。

頭の中で弛緩していた部分が、そのときを境にずっとある種の緊張を強いられて毎日が過ぎていったような気がする。

戦争を除けば、今まで見た、聞いた、どんな小説、どんなに暴力的な映画のシーンでも、これほどの出来事はなかったろう。

それを同じ国の中で起こった出来事として受け止めなければならないという事実。

もはや、対岸の火事では済まないことなのだと、何度も自分に言い含めた。



私の住んでいる町からも、何人もの人たちがボランティアに出かけていった。

だけど、私には同じようなことをするだけの体力も、金も、時間も足りない。

いや、なによりも足りなかったのは、気力だったのかもしれないが。

営業不振にあえぐ零細写真店のおやじができること、そんなものは何も思いつかないまま、月日だけが過ぎていく。


そんな中、秋も深まるころになってようやく決心がついた。

俺は、自分自身のために、あの場所をこの目で見ておかなければいけないんじゃないか。


なんとなく、自分があの場所に立って、被災された人たちの姿を遠くから見るだけでも、ちっぽけな自分に勇気をもらえそうな気がした。



被災地から、勇気をもらう。

…困っている人を見て、自分のおかれた立場の幸せを実感する。あるいは、火事場見物と人は思うだろうか。

被災地の力になるわけでなく、ただ自分のためにだなんて…


それでもいい。あそこへ行けば、きっとなにかが得られる。

そんな不遜とも思える動機を持ちつつ、強行軍で出かけていった宮城県。


そして一生消えないものが、心に刻まれた。


私にとって今年一年の中でいちばん大切な日は、まぎれもなく被災地に立っていた、あの数時間だったと思う。



石巻、女川、東松島、そして閖上…


あのとき目にした光景を、私は忘れない。

そしてあのとき出会った人たちの、前を向く姿を。


99840001.jpg


これは名取市閖上地区へ行ったときの中学校の校舎。

それまで被災地の写真を1枚も撮れなかった私が、夕陽の中、かつて荒海を駆けていたそのままの姿で立ちすくむ漁船の写真とともに、これだけはとレンズを向けた。

このとき、私の中でも時間が止まった。



3月11日、午後2時46分。

あそこの人たちは、この瞬間から過酷な日々を否応なくリスタートしている。

0001.jpg




私はあのとき、あの地から、勇気を分けてもらった。

少々のことでは、へこたれないぞ。

音を上げようものなら、あそこの人に哂われる。

日々の暮らしについて回る不平や不満など、なにほどのものか。

あの地でがんばっている人たちを忘れないように、背を向けないように。


そんな思いで、新たな年を迎えようと思う。








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Author:smile
わが家のワンコを溺愛する「わんこおやじ」。
本業(写真店)のかたわらワンコ用スイーツも作っています。

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